見えてきたそれぞれの思惑や反響ーIBM Notes/Domino ロードマップ発表から 1 ヶ月

2016 年 9 月 13 日に IBM Notes/Domino のロードマップが発表されてからちょうど 1 ヶ月経過しました。このロードマップを巡って、日本での各方面の反響や思惑が次第に明らかになってきました。

まずは、9 月 13 日にアナウンスされた発表の内容の概要を振り返ってみたいと思います。

「IBM Notes and Domino V9.0.1 is extending support through at least 2021 and now includes social capabilities from IBM Connections V5.5」
 

  • Notes/Domino 8.5.x のサポート修了が 2 年後の 2018 年 9 月に
  • Notes/Domino 9.0.x のサポートは「すくなくとも」2021 年 9 月まで継続
  • 今後はメジャーバージョンのリリースの予定は現時点ではなく 9.0.1 にメンテナンス契約しているユーザーに Feature Pack として提供
  • Feature Pack は四半期ごとの短いサイクルで、バグ修正含め機能拡張も提供


今回 IBM が発表した今後の機能拡張を含めたリリースを Feature Pack として提供する理由ですが、IBM によるとこの Feature Packは、IBM ソフトウェア内、広くはマイクロソフトなど業界全体でみられるトレンドであり、Notes/Domino に限った話ではないようです。よって、今後のメジャーリリースが出ない Notes が無くなるという飛躍した話には結びつきません。
この Feature Pack リリースの背景には、クラウドを中心とするアジャイル開発が要求される昨今では、オンプレのソフトウェアを時間かけメジャーリリースをドカッと出すことが、競争の激しい業界においてふさわしくなくなってしまったことも強く影響しているようです。

この発表に関しての日本の IBM Champion ブロガーの反応は

「Notes/Domino 9.0.1 Fix Pack 7リリースと今後のNotes/Domino」

「9月の発表に注目」

「ICONUK で示された Notes/Domino のロードマップ」

ビジネスパートナーの反響は

ご存じのとおり、ビジネスパートナーにはいろんな形態があります。今回は特にライセンス販売しているパートナーにとって、このアナウンスに難色を示す人を多く見かけました。彼らにとってバージョンアップは大きなビジネスチャンスであり、ライセンスの販売とどまらず、バージョンアップへの対応サービス、新規機器の購入、アプリケーション開発、サポートなどの付随サービスの機会が減少するものと考えるからです。メジャーバージョンのリリースが予定がないことを前提に、今後はこれまでの手法は通用せず、新たなビジネスモデルへの変革を進めるか撤退かの決断が迫られます。

周辺ソリューションを提供するパートナーにとっても、Feature Pack への対応はビジネスをややこしくする可能性がゼロではありません。リリースが頻繁に行われる今後、これまでのバージョン(7 とか 8.5 とか)番号だけで、自社ソリューションがどのバージョンに対応しているとかを把握できていたものが、同じバージョンであってもFeature Pack (FP7、FP8...)のリリース番号にも気にする必要が出てくるなど、これまで以上に、リリースの情報の入手には神経を使う場面が出てくるかもしれません。

アプリケーション開発を請け負うパートナーは、Notesのクラッシックノーツアプリに関しては機能拡張の兆候すらありませんので、良くも悪くもなにも変わりはありません。XPages もすでに成熟した感があり、現在見えている以上の新しいものが積極的に実装されることはないように思われます。それよりも先端的なパートナーは、ロードマップにある今年の終わりに発表されるとされている Appication Modenization がいったい何かに興味が向いているようです。

ユーザーの反響は

まだ 9.0.1 へのアップグレードが済んでいない企業は、この8.5 のサポート終了の期日発表により、この1ヶ月アップグレードを計画し始めた企業が増えたように感じます。
一旦 9.0.1 に上げてしまえば、Feature Pack だけでメジャーリリースのライセンス購入をしなくてもよいと好意的に受け止めるユーザーも少なくありません。ただ実際には、ライセンスの購入はしたが、メンテナンス契約をしない企業も少なからずあるようで、メンテナンス契約が必須となることに嫌気を示す意見も出ています。

加えて、特にオンプレで Notes を使い続けていた企業では、2021 年のサポートの期日が示されたことで、これを機にオールインワンでメールも、ナレッジも、業務アプリの Notes 資産を他のプラットフォームに移行を考える始めるユーザーも出てきました。IBM ではメールは IBM Verse、ナレッジは IBM Connections への移行を今後さらに強く推奨していくことでしょう。ワークフローを伴う業務アプリに関しては、Bluemix を推したいところですが、まだ足に地の着いたものとは言いがたく、迷うところではあります。現在の選択としては、1) そのままキープする、2) Verse や Connections、その他のシステムとの連携の可能性を探りつつ Notes クライアントのインストールベースをなくし Web 化する、3) 他社製品への移行を計画するといったところでしょう。
いづれにしても、アプリケーション資産を棚卸し、この3つのどのパスに向けても対応できるよう準備することが重要であると考えるのがユーザーの大半の意見ではないでしょうか?